日本は南北に長く伸び、地域ごとに気候の特性もさまざまです。本州を貫く山脈や、太平洋を流れる暖流・寒流は、どのように日本の気候を形づくるでしょうか。地域ごとの気候について、実際にデータを見て、考えて、解釈してみましょう!

この記事では、気象庁が公開する【気象統計情報】データをもとに、日本各地の気温と降水量を確認します!
基礎知識:日本の気候・地形について
日本は大部分が温帯に属しており、年間を通じて温暖で、四季の移り変わりがはっきりとした地域です。
ただし細かく見ていくと、地域ごとに気候は異なります。太平洋を流れる海流や、夏と冬で向きを変える季節風、本州の中央を走る山脈などが、各地の気候に影響を与えるからです。
データを細かく見る前に、まずは日本の気候・地形について確認します!
太平洋の暖流と寒流
赤道付近の低緯度地域は、太陽の光を強く受けるので温かい海となります。逆に、北極や南極に近い高緯度地域は、冷たい海となります。
赤道付近にある温かい海水を運ぶ海流のことを、暖流と呼びます。逆に、北極や南極付近にある冷たい海水を運ぶ海流のことを、寒流と呼びます。暖流は温かく、寒流は冷たいです。
日本のまわりの海では、南から暖流の「黒潮」が、北から寒流の「親潮」が流れています!


季節風の影響
季節によって吹く方向の変わる風のことを季節風と呼びます。
日本の季節風は、夏は海から吹く南風、冬は大陸から吹く北風となります。
風は、気圧の高い場所(高気圧)から気圧の低い場所(低気圧)に向かって吹きます。
一般的に、冷たい地域では空気が重くなって高気圧になりやすく、暑い地域では空気が軽くなって低気圧になりやすいです。また、陸は海よりも温まりやすく・冷えやすいという性質があります。
このため、夏は陸の方が暑くなる(低気圧になる)ので海から陸に風が吹きます。逆に、冬は陸の方が寒くなる(高気圧になる)ので、陸から海に風が吹きます。
季節風は、このように陸地と海の「温まりやすさ・冷えやすさの違い」によって生まれます。


日本の山脈
日本列島は環太平洋造山帯と呼ばれる地域に含まれていて、各地に山地・山脈が連なっています。これらの山々は、日本海側と太平洋側をへだてるように広がっています。


水分を多く含む風が山にぶつかると、斜面に沿って上昇し、冷やされて雲になり、雨や雪が降ります。そのため、山の手前側と向こう側では気候が異なり、風があたる側では降水量が多く・山を越えた反対側では降水量が少なくなります。
日本では冬になると、日本海側で雨や雪が多く、逆に太平洋側は雨が少なくなります。これは、大陸から吹いてくる季節風が日本の山脈にぶつかるためです。



「暖流と寒流」「季節風」「山脈」などが影響して、各地の気候に違いが生まれます!
地域別の雨温図:月ごとの気温と降水量
日本各地の天候データは、気象庁のアメダスによって観測されています。
全国のアメダスが集めた、気温・降水量・湿度・風の強さなどのデータは、気象庁に送られて、天気予報や大雨・台風などの防災情報を出すのに使われます!
アメダスは日本のさまざまな場所にあるので、地域ごとの天気の違いもわかります。集めたデータを長く調べると、その土地の気候の特徴も見えてきます。
各地域ごとに、気候の違いを雨温図で確認してみましょう!
- 雨温図:1年間の気温と降水量の変化を、1つのグラフにまとめたもの
- 降水量が1mm:「1平方メートルあたり、1リットルの雨が降った」という意味
- 1時間あたり降水量のイメージ
- 1~3mm:小雨・弱い雨
- 5mm~10mm:普通の雨
- 10mm~20mm:強い雨
- 20mm以上:どしゃ降りの雨
- 1時間あたり降水量のイメージ
北海道の気候
北海道の気候に分類される地域から、例として札幌(北海道)の雨温図を確認してみましょう!


2024年のデータでは、札幌の年間平均気温は 10.5℃、年間降水量は 1120mm でした。
北海道は日本の中でも緯度が高く、東側は寒流の親潮の影響も受けるため、一年を通して気温が低い地域です。そのため、日本の大部分は「温帯」に属しますが、北海道は「冷帯」に分類されています。
北海道の冬は寒さが厳しく、地域によっては大量の雪が降ります。特に日本海側では季節風の影響で降雪量が多く、積雪期間も長くなります。一方、夏は本州に比べて涼しく、湿度も低いため、過ごしやすい気候が特徴です。
本州と違って梅雨前線の影響を受けないため、春~夏の降水量は少ないです。
日本海側の気候
日本海側の気候に分類される地域から、例として新潟(新潟県)の雨温図を確認してみましょう!


2024年のデータでは、新潟の年間平均気温は 15.2℃、年間降水量は 2065mm でした。
新潟県・富山県・石川県など、日本海側に位置する地域は、日本海側の気候に属しています。日本海側の気候の特徴は、冬に雨や雪が多く降ることです。
冬になると、大陸から吹く北西の季節風が日本海を渡る間に水分を多く含み、日本海側に雨や雪を降らせます。とくに本州の中央部では、湿った空気が山脈にぶつかって上昇し、雪雲が発達するため、冬の降水量や降雪量が多くなります。



ちなみに、新潟の7月降水量が多いのは梅雨前線の影響です。
内陸性の気候
内陸性の気候に分類される地域から、例として松本(長野県)の雨温図を確認してみましょう!


2024年のデータでは、松本の年間平均気温は 13.8℃、年間降水量は 1383mm でした。
山梨県・長野県・岐阜県など、海から離れた内陸に位置する地域は、内陸性の気候に属しています。
内陸性の気候に属する地域は、海の影響を受けにくいことが特徴です。海は陸地に比べて気温の変化が小さいため、海から遠い内陸部では気温が変化しやすくなります。そのため、夏と冬、昼と夜の気温差が大きくなります。
また、周囲を山脈に囲まれている地域が多く、季節風や海からの湿った空気が届きにくいため、降水量は少ない傾向があります。
太平洋側の気候
太平洋側の気候に分類される地域から、例として東京(東京都)の雨温図を確認してみましょう!


2024年のデータでは、東京の年間平均気温は 17.6℃、年間降水量は 1926mm でした。
関東地方から東海地方、近畿地方の南部など、太平洋側に位置する地域は、太平洋側の気候に属しています。太平洋側の気候の特徴は、夏は雨が多く降り、冬は晴れて乾燥することです。
夏になると、季節風などの影響で太平洋から湿った空気が流れこみ、降水量が多くなります。とくに、梅雨の時期や台風が近づく時期には、雨がたくさん降ります。
冬になると、大陸から吹く北西の季節風は、日本海を渡る間に水分を多く含みます。そして、日本海側の山地にぶつかると雪や雨を降らせます。そのため、山をこえて太平洋側にふく風は乾いたものとなり、冬の太平洋側では晴れる日が多くなります。
また、南に位置する地域では、暖流である黒潮の影響を受けて、温暖な気候となります。
瀬戸内の気候
瀬戸内の気候に分類される地域から、例として高松(香川県)の雨温図を確認してみましょう!


2024年のデータでは、高松の年間平均気温は 18.1℃、年間降水量は 1294mm でした。
岡山県・広島県・香川県など、瀬戸内海に面する地域は、瀬戸内の気候に属しています。
瀬戸内の気候に属する地域は、天候が安定していて、一年を通して温暖・降水量が少ないのが特徴です。
瀬戸内海の周辺は、北は中国山地、南は四国山地に挟まれているため、季節風が山にさえぎられて届きません。そのため雨や雪が少なく、晴れる日が多くなります。また、内陸性の気候も雨は少ないですが、この地域は瀬戸内海に面している影響で気温が高く、一年を通して温暖です。
南西諸島の気候
南西諸島の気候に分類される地域から、例として那覇(沖縄県)の雨温図を確認してみましょう!


2024年のデータでは、那覇の年間平均気温は 24.4℃、年間降水量は 3069mm でした。
沖縄県や奄美群島など、南西諸島に位置する地域は、南西諸島の気候に属しています。南西諸島の気候の特徴は、一年を通して気温が高く、雨が多いことです。
南西諸島は日本の中でも緯度が低く、暖流の黒潮の影響も受けるため、年間を通して温暖な気候となります。そのため、冬でも気温はあまり下がらず、雪や霜はほとんど見られません。
南西諸島は周辺が温かい海に囲まれているので、湿った空気が流れ込みやすく、雨が多くなります。また、5月から6月ごろは梅雨前線の影響を受け、8月から9月ごろは台風の影響を受けるため、特に降水量が多くなります。
まとめ:地域ごとの気温・降水量を比較!
日本の地域それぞれの気候特徴について確認できました!
- 北海道の気候
- 一年を通して気温が低い。冬は降水や積雪が増える一方で、夏は湿度が低い。
- 例:札幌(北海道)
- 日本海側の気候
- 冬に降水量が多くなる。冬の季節風が日本の山地にぶつかることで、雨雲が発生。
- 例:新潟(新潟県)
- 内陸性の気候
- 夏と冬、昼と夜で気温差が激しい。一年を通して降水量が少ない。
- 例:松本(長野県)
- 太平洋側の気候
- 夏は雨が多く降り、冬は乾燥する。一年を通して温暖な傾向。
- 例:東京(東京都)
- 瀬戸内の気候
- 気候が安定していて、一年を通して温暖で、降水量が少ない。
- 例:高松(香川県)
- 南西諸島の気候
- 他の地域よりも気温が高く、降水量が多い。冬でも暖かい。
- 例:那覇(沖縄県)
それぞれの地域を同時に並べて、比較してみましょう!


月ごとの平均気温を比べてみると、那覇は暑い、東京・高松は暖かい、新潟・松本は涼しい、札幌は寒い(冬の平均気温が0℃を下回る!)などが分かります。
東京・高松どちらも暖かいですが、その理由は異なります。東京は太平洋側の気候なので、黒潮の影響で一年を通して暖かく、高松は瀬戸内の気候なので、瀬戸内海の影響で一年を通して暖かくなります。


月ごとの降水量にも、地域の特色が強く表れていますね。
那覇の降水量は、周囲の暖かい海の影響によって、一年を通してずっと多いです。
新潟の降水量は冬に多く、季節風の影響がよく分かります。札幌も冬になると降水量が増えますが、一方で春~夏は他の地域よりも降水量が少ないです。
松本・高松は周囲を山に囲まれていて、太平洋や日本海からの風が届かないため、どちらも降水量が少ないです。
東京は、夏は季節風が太平洋から吹き込むため降水量が多く、一方で冬は日本の山地が季節風をさえぎるので降水量が少なくなります。



それぞれの地域ごとに、気温・降水量の特徴が表れています!
気温や降水量なら【気象庁】を確認しよう!
日本の気象に関するデータは、気象庁の公式サイトで確認できます。
気象庁の公式サイトでは、各地の気温、降水量、日照時間、風速など、気象に関するさまざまなデータを確認できます。日々の天気だけでなく、過去の観測結果も調べられるため、地域ごとの気象の特徴や長期的な変化を把握する際にも役立ちます。
また、過去の統計データはCSVファイルで一覧ダウンロードすることもできます。(リンク)
気象データを詳しく知りたいなら、気象庁の公式サイトを活用しましょう!