日本人の“時間”の使い方:増える睡眠、減る労働【社会生活基本調査】

私たちは1日24時間を、睡眠・仕事・家事・余暇などに配分して生活しています。こうした時間の使い方は、個人の選択だけでなく、社会の仕組みや環境の変化とも深く関わっています。例えば男女平等という考え方の広がりや、リモートワークの普及によって、私たちの生活時間にどんな変化が見られるでしょうか? 実際にデータを見て、考えて、解釈してみましょう!

この記事では、総務省が公開する【社会生活基本調査】データを見ながら、日本人の時間の使い方について確認します!

Question → Answer】

【一日の行動時間】

  • Q:睡眠の平均時間は?
    • 471分
  • Q:通勤・通学の平均時間は?(平日)
    • 79分
    • 在宅勤務(通勤0分)も含めると、平均で53分
  • Q:学業の平均時間は?
    • (平日)小学生:424分 中学生:461分 高校生:436分
    • (土日)小学生:47分  中学生:98分  高校生:141分
  • Q:仕事の平均時間は?(平日。その日がお休みの人を除く)
    • 497分
  • Q:一日の「家事」の平均時間は?
    • 男女平均で91分
    • 成人男性:20~30分 成人女性:120~200分 男女差が大きい!

※データは 社会生活基本調査[2021年]より。

目次

概況:1次活動・2次活動・3次活動の推移

「仕事」や「学業」「睡眠」など、日常生活はいくつかの行動に分けることができます。更に、これらの活動は大きく三つに分類できます!

1次活動 とは、生きていくために必須の行動のことです。具体的には、睡眠、食事、身の回りの用事(入浴・着替え・化粧・洗顔など)が含まれます。これらは健康や生命の維持に直接関わる活動です。

2次活動 とは、社会生活を送るために必要な義務的な行動を指します。仕事や学業、家事などが代表例で、多くの場合、決まった時間や役割に基づいて行われます。収入を得たり、知識や技能を身につけたりするための活動です。

3次活動 とは、1次・2次活動以外の自由な時間に行われる行動です。趣味・娯楽、休養、交際(友人や恋人との付き合い)などが含まれ、個人の楽しみや心の充実に関わります。人生を楽しく生きる・生活の質を高める活動です。

1次活動・2次活動・3次活動の時間がどう変化しているか、確認してみましょう!

用語チェック
  • 1次活動:生きるために必須の行動
    • 該当する行動:「睡眠」「身の回りの用事」「食事」
  • 2次活動:社会的に義務的な行動
    • 該当する行動:「通勤・通学」「仕事」「学業」「家事」「介護・看護」「育児」「買い物」
  • 3次活動:自由な行動
    • 該当する行動:「移動(通勤・通学を除く)」「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」「休養・くつろぎ」「学習・自己啓発・訓練(学業以外)」「趣味・娯楽」「スポーツ」「ボランティア活動・社会参加活動」「交際・付き合い」「受診・療養」

直近20年で ①1次活動の時間は増加、②2次活動の時間は減少、③3次活動の時間は微減 という傾向が確認できました。特に2020年コロナ禍の到来に伴い、2016⇒2021年にかけて1次活動の増加と2次活動の減少が顕著に見られます。

最新のデータ(2021年)を、平日・休日の棒グラフで表してみます。

時間配分を見ると、平日は 2次活動 > 3次活動、逆に休日は 2次活動 < 3次活動 になります。平日は多くの人が働いているため2次活動の時間が長く、休日は多くの人が休むため3次活動の時間が長いのだと考えられます。また、平日 < 土曜日 < 日曜日の順番で、1次活動の時間が伸びているのも確認できますね。お休みの日は睡眠時間が長くなりやすく、こうした結果につながっているのかもしれません。(朝ごはんを食べるのに、急ぐ必要もないですし!)

生活時間の推移:行動別

それぞれの活動について、行動時間のデータを確認してみましょう!

縦軸の値は全て「一日当たり何分の時間を使ったか」です。

「仕事」の時間

「その日が仕事だった」人だけに絞り、年齢別の「仕事」時間データ(2021年)を確認してみます。

全年齢で平均を取ると、平日の仕事時間は 497分 でした。(※土曜日は442分・日曜日は420分)

25歳-59歳で仕事の時間はほぼ変わらず、一日当たり 約520分 を仕事に使っています。9時間に届かない程度なので、残業時間は1時間弱が平均とわかりますね。

20歳-24歳は仕事の時間が少し短く、500分に届きません。この年代にはパートタイム労働者・アルバイトの人も多いので、25-59歳のメイン労働層より労働時間が短いのでしょう。

60歳を超えると、歳をとるにつれて仕事時間が減っているようです! 定年退職により、企業との雇用契約が変化し、時短勤務・パートタイム労働になる人が多いのだと想像できます。また、80歳以上の人が一日5時間も働いていることもデータから分かりますね。(驚きです!)

曜日別の「仕事」時間の変化を見てみます。 ※その日がお休みの人もデータに含みます。

土曜日は減少傾向だと一目で分かりますね。1990年以降、土曜日・日曜日の週休二日制を採用する企業が増えているためでしょう。

「通勤・通学」の時間

「その日、通勤・通学をしていた」人だけに絞り、年齢別の「通勤・通学」時間データ(2021年)を確認してみます。

全年齢で平均したとき、平日の「通勤・通学」時間は 79分 でした。片道40分ですね。

20-24歳は最も通勤・通学の時間が長く、一日当たり90分かかっています。歳をとるにつれて通勤にかかる時間が減っていますが、結婚に伴う引っ越し等の影響がありそうです。

曜日別で「通勤・通学」行動時間の変化を見てみましょう! ※その日「通勤・通学」していない人もデータに含みます。

2016年までは「通勤・通学」時間は増加傾向でしたが、2021年コロナ禍によるリモートワーク推進を背景に、急激に通勤・通学の時間が減っていることが分かります。なお、「仕事」時間と同様に、土曜日の通勤・通学時間が減っていることも確認できますね。

「家事」の時間

曜日別で「家事」行動時間の変化を見てみましょう! ※その日「家事」をしていない人もデータに含みます。

「家事」の時間は曜日差がほとんどなく、年々減少傾向にあることが分かります1

「家事」の時間が減っている背景には、外食で食事を済ませる人が増えていることや、食洗機やドラム式洗濯機といった便利な家電が普及してきたことがありそうです。なお、直近ではコロナ禍で「家事」に回せる時間が少し増えたと分かります。

一人あたりの「家事」平均時間は約90分ですが、「家事」時間は男女に大きな差が存在するので注意してください! 「その日、家事をしていた」人だけに絞り、男女・年齢別で棒グラフを確認してみます。

男性はどの年齢も同程度80-90分 です。一方、女性は年齢と共に家事時間が増え、30代で 約180分、40代で 約220分 になります。男女雇用機会均等法の施行など男女の雇用形態の差は狭まりつつありますが、依然として女性には専業主婦・パートタイム労働者が多いですから、空いた時間で家事・育児を担当しているのだと想像できます。逆に考えると、男性は一般労働者(いわゆる正社員)として働く人が多いですから、家事に割ける時間が実質決まっており、どの年代も似たような時間(80-90分)だけ家事に使っているのだと考えられますね。

最後に、夫婦の「家事」時間の推移を見てみます。 ※その日「家事」をしていない人もデータに含みます。

「妻」の家事時間が大幅に減る一方、「夫」の家事時間は段々と増えていますね。減増を合計したらマイナスなので、夫婦全体の家事時間は年々減少しているようです。これは一番最初に確認した通り、家事時間が年々減っている事実とも一致します。

「学業」の時間

小学生・中学生・高校生・大学生それぞれの、「学業」時間の変化を確認してみます。

どの学生区分でも、勉強時間は増加傾向にありますね。「学業」には塾や予備校での勉強も含むので、学校以外の場での勉強時間が長くなっているのだと考えられます。少子高齢化に伴い、子供一人あたりの教育機会が増えているのでしょう。

年齢別・曜日別の「学業」時間データ(2021年)を、棒グラフで確認してみます!

平日の勉強時間を確認すると、小学生:424分 中学生:461分 高校生:436分 でした! どの学生区分でも、平日>土曜日>日曜日の順で勉強時間が長いと分かりますね。

「育児」の時間

それぞれの年齢別で「育児」時間の変化を確認してみます。※「育児」をしていない人もデータに含みます。

大まかな傾向として、20代の育児時間は減少傾向・30,40代の育児時間は増加傾向でした。特に30代の育児時間の増加は圧倒的ですね! 晩婚化にともない、中年層の育児時間が伸びていると考えられます。

夫婦別で、「育児」時間の変化を確認してみます。 ※「育児」をしていない人もデータに含みます。

夫婦ともに育児時間は増加傾向ですね。ただし、直近のコロナ禍では妻の育児時間が減っていることが確認できます。

「育児」をしている人だけに絞って、男女別の「育児」時間データ(2021年)を確認してみます!

20-44歳の子育て世代では女性の方が「育児」時間が長く、45歳以降は男女差が消滅することが確認できました。

「買い物」の時間

年齢別で、「買い物」時間の変化を確認してみます。 ※「買い物」をしていない人もデータに含みます。

直近20年の「買い物」時間は、10代は横ばい20-30代は減少傾向40代~は増加傾向 と、年齢ごとに「買い物」時間の変化は異なります。

若年層・現役層で買い物時間が短くなっているのは、ネットショッピングの普及により買い物にかける時間が短くなっているから……かもしれません。一方、高齢者層では核家族化の進行により自由時間が増え、その結果として「買い物」時間が伸びている、などが予想できます。どんな理由が考えられるか、みなさんも考えてみてください!

「睡眠」の時間

「睡眠」時間の推移は、年齢によって大きく傾向が異なります。直近20年で「睡眠」時間は、10代は横ばい20-40代は上昇傾向50代~は減少傾向でした。

それぞれ、時系列グラフで確認してみましょう!

現役世代の睡眠時間が伸びているのは、労働時間の減少が影響していそうです。(特に土曜日!)

ちなみに、2021年は全ての年代で睡眠時間が伸びていますね。コロナ禍によるリモートワーク推進によって、通勤・通学時間が減少した結果、睡眠時間が増えたと考えられます。

全ての年齢で平均したとき、睡眠時間の平均は 471分 でした。[2021年]

【※補足:全ての年齢を一度にプロットしたものが以下の図です】

「交際・付き合い」

「その日が交際・付き合いだった」人だけに絞り、年齢別・平日/土日別の「交際・付き合い」時間データ(2021年)を確認してみます。

平日の交友時間はどの年齢も同程度140分~150分 でした。ただし20-24歳は他年齢より50分ほど長く、逆に60歳を超えると少し短くなります。

平日とは異なり、土日の交友時間は年齢が上がるほど減少傾向にあります。歳を増すごとに、家庭を持つ等の理由で自由時間が効きにくくなっていると考えられますね。

曜日別に「交際・付き合い」時間の変化を確認してみます。 ※「交際・付き合い」をしていない人もデータに含みます。

「交際・付き合い」の時間は年々減少の傾向です。土曜日と日曜日の差がなくなっていますが、これは土曜勤務が減っていることが影響していそうですね。

移動(通勤・通学を除く)

曜日別で、「移動(通勤・通学を除く)」時間の変化を確認してみます。

※その日「移動(通勤・通学を除く)」をしていない人もデータに含みます。

直近20年で減少傾向が確認できますね! そもそも移動していない人が増えているのもあり、このようなデータになっているのではないでしょうか。

土曜日と日曜日で行動時間に差がなくなっているのも注目です。「交際・付き合い」のデータと同様に、土曜勤務が減っていることが影響していそうです。

「趣味・娯楽」の時間

曜日別で「趣味・娯楽」時間の変化を確認してみます!

平日休日ともに「趣味・娯楽」の時間は増えています。労働時間が減ったり婚姻率が低下することによって、「趣味・娯楽」に時間をあてる余裕が増えたのだと考えられます。

「交際・付き合い」「移動時間(通勤・通学を除く)」時間が減っているのに、「趣味・娯楽」の時間は伸びている……これは面白い事実です。インターネットの普及によって、一人で・室内で楽しむ時間が増えていると考えられますね。

年齢別「趣味・娯楽」の時間を棒グラフで表してみましょう![2021年]

40,50代が顕著に低いですね。昇進による仕事量の増加や、子育てに時間を使うことにより、趣味の時間が取れなくなっていくのだと考えられます。60代~の高齢者層では趣味の時間が増えるのも、仕事の現役引退により、自由時間が増えたのだと予想できます。

「テレビ・新聞・ラジオ・雑誌」の時間

曜日別で「テレビ・新聞・ラジオ・雑誌」につかう時間の変化を確認してみます!

2000年代に入り、テレビやラジオに使う時間は減少傾向なのが分かります。特に、2011年からは明確に減少していて、インターネットやスマートフォンの普及が影響しているのだと予想できます。

年齢別「テレビ・新聞・ラジオ・雑誌」の利用時間を棒グラフで表してみましょう![2021年]

年齢別だと50代以降がメイン層で、逆に30代以下は一日の利用時間が1時間もありません! テレビ・ラジオ・新聞といった、いわゆるオールドメディアは、若年層の利用率・利用時間が小さいことが確認できます。10-30代はどの年代も同じような利用時間で、40分-50分ぐらいです。

時間の使い方なら【社会生活基本調査】を確認しよう!

日本人の時間の使い方は、総務省の統計データ【社会生活基本調査】で確認できます。

社会生活基本調査は5年に一度の実査が行われ、全国の人々を対象に、1日の生活時間の配分や自由時間における主な活動について調べる統計です。仕事や家事、育児、睡眠、余暇活動などにどれくらいの時間を使っているのかを把握できる、暮らしの実態を知るうえで重要な資料となっています。日本を根底から支える基礎データ、基幹統計の一つでもあります。

日本人の時間の使い方を詳しく知りたいなら、社会生活基本調査を活用しましょう!

  1. 注意:昭和51年及び56年は「家事・育児」。昭和51年~61年は「介護・看護」を含みます。そのため、この期間について減少傾向にあるとは断言できません。 ↩︎
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