日本の穀物・芋データ:自給率・生産量・耕地面積の推移【作物統計】

お米・小麦・大豆といった穀物は、私たちの主食であるだけでなく、牛やニワトリを育てるための飼料としても重要な存在です。日本の食を根底から支える穀物について、生産量や食料自給率などは、どのように変化してきたのでしょうか。実際にデータを見て、考えて、解釈してみましょう!

この記事では、農林水産省が公開する【作物統計】【食料需給表】データを見ながら、お米・小麦・大豆などの主要穀物と、芋の収穫データについて確認します!

Question → Answer】
  • Q:米・小麦・大豆・サツマイモ・ジャガイモの食料自給率は? (※重量ベース)
    • 米:99%
    • 小麦:17%
    • 大豆:7%
    • サツマイモ:97%
    • ジャガイモ:68%
  • Q:お米(水稲)・小麦・大豆・サツマイモ・ジャガイモの生産量は、一年間で何万t?
    • お米:735万t
    • 小麦:103万t
    • 大豆:25万t
    • サツマイモ:72万t
    • ジャガイモ:236万t
  • Q:日本全国の、田・畑の面積はそれぞれどのくらい?
    • 田の面積:234万ha (2.3万㎢)
    • 畑の面積:196万ha (1.9万㎢)

※データは 作物統計[2023年1,2024年]・食料需給表[2023年]より。

目次

日本の穀物:食料自給率

市場に出回る穀物は、日本産のものと外国産のものがありますね。例えば、お米はほとんどが日本で生産されている一方で、小麦はアメリカ産・カナダ産・オーストラリア産のものが日本に多く輸入されています。

一般的に、食材の国内供給量のうち、日本産が占める割合を食料自給率と呼びます。

用語チェック
  • 食料自給率2:国内で供給される食材のうち、何%が日本で生産されたものかを表す

米・小麦・トウモロコシといった穀物や、あるいはキャッサバなどのイモ類はエネルギーが豊富なため、世界中で主食として食べられています。

ちなみに日本人の食べる「トウモロコシ」は、多くがスイートコーンで、野菜として分類されています。

穀類・イモ類は私たちの体を動かす主要なエネルギー源なので、食料自給率の数値が大切です。戦争や疫病など、世界情勢によって輸入が不安定になったとき、国内でどれだけ安定して生産できるかが日々の生活に影響します。

それでは、穀物・イモ類の自給率データを確認してみましょう!(※「かんしょ」はサツマイモと同じ意味、「ばれいしょ」はジャガイモと同じ意味です)

「米」「サツマイモ」の自給率は、ほぼ100%だと分かります。2000年以降は一時的に自給率が落ちたものの、それでも90%を超えています。2023年データでは、米の自給率は 99% 、サツマイモの自給率は 97% でした。

「小麦」「大豆」の自給率は低く、2000年以降わずかに上昇傾向であるものの、依然として輸入に多くの部分を頼っています。2023年データでは、小麦の自給率は 17% 、大豆の自給率は 7% でした3

「ジャガイモ」の自給率は年々下がっていることも確認できます。1970年までは自給率100%でしたが、2023年データでは 68% でした。実はジャガイモの国内生産量は年々下がっていて、代わりに輸入品に頼るようになってきています4。農家の高齢化や減少にともない、国内の需要に追いつくだけの生産ができていない状況です。

田畑の面積データ(日本全国)

農地は、米を育てる「田」と、それ以外の穀物や野菜・果物を育てる「畑」に分けられます。

戦後は工業化の進展にともない、田畑の面積は減少してきたと考えられますね。実際のデータをもとに、田畑の面積の推移を見ていきましょう!

用語チェック
  • ha(ヘクタール):1万平方メートルのこと
    • 1haは100a(アール)と同じ。1aは100平方メートル。
    • 100haで1平方キロメートルになる。

田んぼ・畑の面積は、どちらも減少傾向だと確認できます。農業従事者の高齢化や引退によって作付面積を維持できなくなっていることが、理由の一つとして考えられそうです。

2023年データでは、田の面積が 234万ha 、畑の面積が 196万ha でした。田畑を合わせると、合計で430万ha(4.3平方キロメートル)です。日本の国土は37.8万㎢なので、日本の国土のうち農地が占める割合は 約11% ということが分かります!

また、1970年以降、田んぼの占める割合が下がっていることも分かります。これは、政府の減反政策による影響です。

用語チェック
  • 減反政策:1970年以降、農家にお米の生産量を抑えるように要請した政策のこと(2018年度に廃止)

戦後しばらくは食料不足に対応するべく、お米の生産量は政府によって管理されていました。戦後復興とともにお米の生産量・供給量が増加する一方で、日本人の洋食化・米離れが進み需要量は下がっていきます。結果としてお米が余るようになってしまい、「米の作りすぎ」な状況が生まれてしまいました。当時の日本政府はこれに対応するべく、お米の生産量を抑えるように農家に要請しており、この政策を一般的に「減反政策」と呼びます。

減反政策の影響で1970年以降、お米の生産を辞め、代わりに小麦や大豆の生産を行う農家が増えました。このように、今までとは別の作物を生産するようになることを「転作」と呼びます。

日本の穀物:耕地面積と生産量(収穫量)の推移

穀物・野菜など、作物の「生産量」は「作付面積」×「面積あたりの栽培量」で計算できます。言い換えれば、「生産量」は「作付面積」と「面積あたり栽培量」に分解できます。

台風などの自然災害が発生すると、「面積あたり栽培量」が減るため、結果として栽培量が減少します。

一方で、輸入の自由化や減反政策などの理由によって生産量を調整する場合、栽培そのものを辞める・新しく始めるので、「作付面積」が増減します。

作物の生産量を確認するときは、同時に「作付面積」と「面積あたり栽培量」のデータもチェックしましょう!

自然災害では「面積あたり栽培量」が減少します。
政府や農家が生産量をコントロールする場合は「作付面積」が変化します。

米の収穫量と、耕地面積(田んぼの面積)の推移

お米(水稲)の生産量と、耕地面積の推移についてデータをチェックしてみます。

お米の生産量は1970年ごろまで上昇し続け、それ以降は減少傾向であることが分かります。2024年データでは、お米の生産量は 735万t でした。

10aあたりの生産量が長年上昇し続けています。科学技術・農業技術の発展によって、効率的な育成・栽培ができるようになったと考えられますね。一方で、作付面積は1970年以降は減少が続いており、減反政策の影響が表れています。

1993年データでは、「10aあたり収量」が一時的に減っていることが確認できます。この年は記録的な冷夏によってお米の不作が発生5し、お店からコメの在庫が消えるなど、大きな混乱が発生しました。この騒動は「平成の米騒動」と呼ばれ、政府がお米を備蓄する「備蓄米制度」が始まるきっかけにもなりました。

小麦の収穫量と、耕地面積の推移

小麦の生産量と、耕地面積の推移についてデータをチェックしてみます。

小麦の生産量・作付面積は1960年頃まで上昇・1960年~1970年は減少・1970年以降は上昇、という推移をしています。2024年データでは、小麦の生産量は 103万t でした。

戦後はパン食文化の普及によって輸入小麦の数が増えていきました。日本の小麦はパン食に適していなかったため、農家は小麦栽培をやめて、輸入品との戦いを避けるようになったと言われています。また、1960年代は農家の兼業化が進み、二毛作による小麦栽培(裏作麦)の生産も減りました。結果として、1960年~1970年は小麦の作付面積が急減したと考えられています6。一方で、1970年以降は減反政策の影響によって米から小麦への転作が進んだため、小麦の作付面積は上昇しています。

10aあたりの収穫量は、科学技術・農業技術の発展によって上昇が続いていますね。小麦は寒さに強い作物なので、米と違って冷害の影響は受けにくいです。

大豆の収穫量と、耕地面積の推移

大豆の生産量と、耕地面積の推移についてデータをチェックしてみます。(※データの存在しない年は描画されていません)

大豆の生産量は1950年まで減少・1950年代は上昇1960年代は減少・1970年以降は上昇傾向、という推移をしています。2024年データでは、大豆の生産量は 25万t でした。

終戦直後、日本は深刻な食糧不足に対応するため大豆の増産を行いました。結果として1950年代の作付面積は急上昇し、生産量も増大しました。一方で、1961年の大豆の輸入自由化によって、1960年代は逆に大豆の生産量は落ち込んでいきます。1970年以降は、減反政策の影響によって米から大豆への転作が進み、大豆の作付面積は上昇傾向となりました7

10aあたりの収穫量は、科学技術・農業技術の発展によって上昇が続いていますね。1993年は、米と同じように面積あたり生産量が落ちています。大豆は寒さに弱いため、冷害の影響を受けていることが分かります。

サツマイモの収穫量と、耕地面積の推移

サツマイモ(かんしょ)の生産量と、耕地面積の推移についてデータをチェックしてみます。(※データの存在しない年は描画されていません)

サツマイモ(かんしょ)の生産量は1950年頃まで上昇傾向でしたが、1960年代に大幅に減少しています。2024年データでは、サツマイモの生産量は 72万t でした。

戦後の食糧難の中でサツマイモの生産拡大が進み、1960年頃には毎年600万t台を記録するほど大量生産されるようになります。しかし1960年頃から輸入トウモロコシによるコーンスターチの生産が急増したため、デンプン用に生産されていたサツマイモは需要が減ってしまいました。8

デンプンの材料として、トウモロコシがメジャーになりました!

ジャガイモの収穫量と、耕地面積の推移

ジャガイモ(ばれいしょ)の生産量と、耕地面積の推移についてデータをチェックしてみます。(※1973年以降のデータしか存在しませんが、他の穀物データと合わせるために、グラフを1883年からスタートしています)

2000年以降、ジャガイモ(ばれいしょ)の生産量は減少傾向だと分かります。2023年データでは、ジャガイモの生産量は 236万t でした。

この記事の冒頭で確認したように、ジャガイモの食料自給率は年々落ちています。ポテトチップスやフライドポテトの加工用にジャガイモの需要は高まっているものの、その原材料にはアメリカなどから輸入したジャガイモが利用されている状況です。

10aあたりの生産量をチェックしてみると、ジャガイモは3000kgほど・サツマイモは2000kgほどです。10aあたり生産量は、お米・小麦が500kgほど、大豆が150kgほどですから、イモ類は穀物と比べて面積あたり生産量がかなり大きいと分かります!

採れる量が多いということは、その分だけ収穫が大変・その後の保管も大変、ということです。ジャガイモの生産量が減っている理由の一つとして、「収穫するのが大変!」もありえそうですね。9

穀物データなら【作物統計】を確認しよう!

日本の穀物に関するデータは、農林水産省の統計データ【作物統計】で確認できます。

作物統計は、耕地面積や農作物の作付面積・収穫量などを調べている統計であり、米や麦、大豆、そばといった穀物に加えて、野菜や果樹などの生産状況も確認できます。作物統計は、穀物や野菜の生産実態を把握できる、農業分野の基礎的なデータの一つとなっています。日本を根底から支える基礎データ、基幹統計の一つでもあります。

この記事では確認しませんでしたが、作物統計では地域別の生産状況も確認できます。全国的な傾向を見るだけでなく、どの地域・都道府県で多く生産されているのかを確認することにも役立ちます。

穀物の生産状況を詳しく知りたいなら、作物統計を活用しましょう!

  1. ばれいしょ(ジャガイモ)のデータ・田畑面積のデータは、2023年のものを利用。 ↩︎
  2. 例えば「重量ベース」の自給率であれば、食材の重さを使って計算した自給率となります。「カロリーベース」であれば、一日の消費カロリーのうち何%が日本の生産で賄えるかを表した自給率となります。 ↩︎
  3. 大豆の用途は「飼料用(エサに利用する)」「食用」「工業用(植物油の生産など)」に大きく分けることができます。食料需給表では食用大豆のデータも公開されており、2023年データでは、「大豆_食用」の自給率は24%でした。 ↩︎
  4. 2025年『ばれいしょをめぐる状況について』農林水産省 ↩︎
  5. この冷害は「エルニーニョ現象」が原因と考えられています。参考:福井テレビ ↩︎
  6. 2011年『小麦の国際価格変動下における国内産小麦需要の変化について』吉田行郷 農林水産政策研究所 ↩︎
  7. 2021年『大豆をめぐる事情』農林水産省 ↩︎
  8. 2012年『サツマイモの近現代史』狩谷昭男(出版:一般財団法人 いも類振興会) ↩︎
  9. 参考:2023年『ばれいしょ栽培の省力化技術の開発』青山聡 ↩︎
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